March 24, 2007

第59回 変身完了 ペルーへ 「ガイドブックそのままの女の子」

「まず、来た初日にね、ウワサの首絞め強盗にあったの!
そこの角を曲がろうとしたときにいきなり後ろから絞められて、最初は何が起こったんだかわからなかったけど、気づいたときにはカバン取られてた。まあ、貴重品は入ってなかったから良かったんだけどね。

でね、また次の日は、バスターミナルの近くでいきなり少年たちに囲まれてね、怖かったー。顔つきがヤバイんだもん。何されるのかと思ったよ。金出せって、言われたけど、本当に小銭しか持ってなくて、全部出したら、それ持って逃げていったけどね。

そしてね、一番最悪だったのは数日前!ちょっと帰りが遅くなっちゃって、暗くなり始めてたんだけど、すぐだからいいかと思って歩いて帰ってきたのが間違いだったわねー。ワイヤー強盗にあっちゃった・・・」
と、彼女はそこまで一気に話すと、私たちの顔色を伺った。
画像提供:いくちゃん
「そ、それで、どうなったんですか?」
「勿論、全裸よ、全裸!全て持っていかれちゃった・・・!!」

彼女は怖いことを平気で言う。
全部持っていかれちゃうのも怖いけど、全裸にされるっていう事のほうが怖かった。

「だからね、私、たまたま近くにあった新聞紙を体に巻きつけてここまで帰ってきたんだから!すごくない!?」
「・・・・・」

すごい、確かに、すごい!!色々な意味で・・・。
彼女は、まさにガイドブックに出ていた事例そのままの事件に遭遇していた。

「それで、お金とかパスポートとか、大丈夫だったんですか?」
「勿論!全てホテルにおいて、いつも行動してるからねー」


彼女は秘策を教えてあげる、と嬉しそうに言うと、紙切れを広げた。
「ばーか!せっかくですが、お気の毒さま!ここには何も入ってませんでした!」
と、その紙にはスペイン語で書かれていた。

「この紙をね、財布の中に入れて持ち歩いてるの。だからもし誰かがこの財布を盗んでも、中は空!面白いでしょ!きっとこれで、犯人も盗みなんかしないようになるわよ」

彼女は個性的で変わった子だった。
でも、そんなことしたら、犯人は余計逆上して、殺されかねないんじゃないかな、とちょっと思ってしまった。


だから私は翌日から、空の財布に紙切れを入れ、こう書く事にした。
「私はアルゼンチンで身包みはがされ、一文無しです。この足も、アルゼンチンで負傷しました。だから何も残っていません、ごめんなさい」・・・

「準備はOK?」
翌朝私たち3人は、お互いをチェックしあった。
「うん、完璧!まず日本人には見えないね。じゃあ、出発する?」


今日はクスコの市内を観光する日。
危険なペルーを自由に歩くための対策を考え抜いた結果、私たちは変装することにしたのだ!!

変装、といっても、単純に民族衣装を買って現地のペルー人になろうってのは無理だとわかっているので、最低でも、日本人に見えなければいいのだ。

そこで私たちはボリビアの市場で、色々な小物を調達し、今ここで、変身完了!!なのだった。

March 14, 2007

第58回 変身完了 ペルーへ 「クスコの噂」

チチカカ湖の快適なクルーズも終わり、私たちが陸地に降り立ったところは、プーノという小さな町で、そこはもうペルーの国土だった。

つ、ついに来てしまったのか!
南米一危険な国、ペルー!!!


簡単なボリビアの出国審査を済ませ、これまたいたって簡単なペルーの入国審査を通過し、私は不安になってきた。
一体この先、私たちに何が起こるのか、全く想像もつかなかった・・・。

旅人の間で語り継がれている話では、ペルーの首都リマやクスコでの「首絞め強盗」。
なんとも恐ろしい名前なのだけど、まさにその通りで、昼夜問わず街を歩いていると、いきなり後ろからロープで首を絞められる!!
そして一瞬気絶した時に、犯人はカバンごと持ち去って逃げるのだそうだ。

最近は、バージョンアップして更に凶悪な、「ワイヤー首絞め強盗」というのもいるんだそうだ。
これは、ワイヤーで首を絞めるので、効果が高く、持続性もあるので、やられたら最後、全裸にされ、マネーベルトからなにから、総なめにして持っていかれるのだそうだ。
しかも、失神だけじゃなく、失禁もするそうなので、ダブルで恐ろしいっ!!
画像提供:いくちゃん


私たちは、プーノからクスコまでの約300KMの道のりを、一気に進むことに決め、バスに乗り込んだ。

バスの窓から見える風景は、ボリビアとたいして変わらないように見えた。
時たま歩いている人も、みんな民族衣装を着たインディヘナの人々で、危険そうな感じはしなかった。

このあたりは、まだ田舎だからなのだろうか??

4時間くらい、バスに揺られていたんだろうか、ウトウトしたころに、バスはクスコに到着した。

私たちは、バスを降りると、辺りを見回した。
ここは、危険なクスコ・・・。

言われてみれば、ちょっと危険なような・・・。でもまだ日があるせいか、そこまで危険なにおいはしてこなかった。
画像提供:いくちゃん

タクシーを捕まえると、中央のアルマス広場に直行した。
今夜泊まろうと思ってる宿は、アルマス広場のすぐ近くの、便利なところにあった。

宿に到着してすぐに、私たちは日本人の女の子に話しかけられた。
「こんにちは・・・日本人の方ですか?」
彼女は、たまたま宿のロビーにいて、やってきた私たちに話しかけたのだ。
「えぇ。はい。そうです」
「その足、ここで怪我したの?」
彼女は、私のギブスを見ていった。
「ペルーじゃないけど、南米で。アルゼンチンです。ちょっと事件に巻き込まれて・・・」
「アルゼンチンで?あんなに治安のいいところで?」
彼女は相当びっくりしたようだった。

話に興味をそそられたのか、近づいてくると、更に話を続けた。
「ペルーでは、何か事件にあわなかった?」
「ええ、まだ・・・。だって今、ボリビアからきたばっかりだし・・・」
「そうなんだー。でもペルーって、危ないの知ってるでしょ?私、ここにもう2週間いるんだけどね、しょっちゅう怖い目にあって、もう馴れちゃった。聞きたい??」
と、彼女は自分の体験談を話したそうだったので、とりあえず何かの参考になるかもしれないし、と、聞くことにした。


March 12, 2007

第57回 覚悟を決めて ボリビアへ 「リャマ人形の誘惑」

第57回 覚悟を決めて ボリビアへ 「リャマ人形の誘惑」

数日間、この湖畔の町でのんびりしたあと、私たちは次なる目的地、ペルーへ向けて準備を始めた。

準備ってもちろん、南米一危険といわれるペルーに行くための、危険回避策に他ならない!!
町の市場を練り歩き、私たち3人は色々な物を仕入れた。


偶然、町の中央広場に売っていた、リャマ毛100%で作った、かわいいリャマ人形を見かけた。
しかも、ミニサイズはなんと1つ30円なのだ!
抱きかかえるタイプの1mくらいのサイズでも、500円もしなかった。

肉は食べるのは嫌いでも、リャマファンの私は、いくちゃんと共にさっそく買いあさった。
まだまだ旅はこれからなのに、今ここで荷物が重くなるのは困るのに、でもあまりのかわいさと安さに、買わずにはいられなかった。

なんと、二人で40匹以上も買うことになり、そのお店のリャマを全部買い占めてしまった。
それでも足りなくて、「あと20匹は友達用に欲しいんだけど・・・」という私たちにさすがにお店のおばさんはびっくりしたけど、

「明日までには徹夜してでもあと20匹作ってくるから、買ってちょうだい!」と嬉しそうに言った。

画像提供:いくちゃん
そして出発日の朝、私といくちゃんは約束どおりにおばちゃんの店に行くと、店の前には20匹のリャマ達が勢ぞろいして、私たちの事をお出迎えしてくれていた。

合計60匹のリャマを買った私たちに、おばさんは「おまけ」といって小さなリャマを2匹くれた。

いくちゃんは、なんと、一番巨大な1mもあるリャマに一目ぼれして、バックパックに入らないよ、と説得したにもかかわらず、買ってしまった。
これから先、この巨大リャマは抱えて持っていくしかないのだけど・・・。

ペルーに行くには、このチチカカ湖を船で渡っていくのだ。

途中に太陽の島、月の島という、旅人の心をくすぐるかわいらしい名前の島があるので、そこに寄ってから行くことにした。
もちろん、有名な「ウロス島」にも寄って。

ウロス島は、チチカカ湖の真ん中に浮く、浮き島だ。
常に流されたり戻ったりしているので、毎日位置は変わるけど、この湖の中に浮かぶ島だ。
そこには、ちゃんと人が生活している。

湖に囲まれているので、魚は豊富だし、あとは訪れた観光客に小物を売っては、生計を立てているようだった。

ウロスの住人達が、ちょっと観光客慣れしすぎちゃってるのが残念だったけど、でもプカプカ浮いた、浮き草で出来た島に上陸するのは、貴重な体験だった。

その後に寄った、太陽の島と月の島は、リゾート地といった感じだった。
小さな島だけど、西洋人観光客がわんさかいた。

太陽の島で、船が出ようとするときになって、いくちゃんはまたリャマに一目ぼれした。
物売りのおばちゃんが、今まで見た中で最高に毛並みのいいリャマの人形を2匹持って、近づいてきた。

「コンプラ、コンプラ・・・」(買って、買ってという意味)と言いながら、2匹のリャマを人形劇の人形のように動かしていた。

画像提供:いくちゃん
まるでリャマが、「僕たちを買ってよー」と言っているみたいだった。

最初は1匹500円という、法外な値段を吹っかけてきたから、いくちゃんも無視したけど、私たちの船が出る頃になって、おばちゃんは観念したのか、2匹ペアで買ってくれたら、1匹100円でいいよと言ってきた。
毛並みも最高だったし、顔もかわいかった。

いくちゃんが100円なら・・・と買う決意をしたとたん、おばちゃんはそのリャマを見つめ、とっても名残惜しそうに悲しい顔になってしまった。

「私とずっと一緒にいたリャマなんだ。大事にしてやってね・・・」
おばちゃんは、そうは言うものの、一向にその2匹のリャマを離そうとはしない。

船の汽笛が鳴った。
もう行かなきゃ!

いくちゃんも、おばちゃんがかわいそう思えてきて、「別に、買わなくてもいいんだけど・・・」
「ううん、いいのよ、いいの。リャマちゃん達、がんばってね!幸せに暮らすのよ!」
おばちゃんは、2匹のリャマの人形に話しかけると、いくちゃんから16ボリビアーノを受け取って、それでも更に、名残惜しそうにリャマを見つめていた。

売りたいのか、売りたくないのか・・・よくわからないおばちゃんだった。


でもこの、太陽の島生まれの2匹のリャマは、そんなおばちゃんの愛情たっぷりに育てられたのか、毛並みは最高で、愛嬌のある顔つきがとても可愛かった。

記事一覧へ

プロフィール

HN
オポッサム
学歴
ニュージーランドの農業大学卒業(将来の夢は、細胞工学博士!でした。昔は・・・)
職歴
大学卒業後、某実験動物会社の社長秘書(1年半)。 オーストラリアシドニーで現地のツアーガイド(2年)。 帰国後、某旅行会社添乗員に(今年、4年目)。
旅行歴
約10年間で、70カ国周遊。(国を挙げるときりがないですが、アフリカ以外ほぼ全て)
好きなもの
ゲバラ司令官、猫、オポッサム。
キライなもの
注射、手術、料理、事務仕事。
趣味
世界放浪、ダイビング、遺跡発掘、三味線。
特技
日本舞踊。どこでも寝られる。
このブログに掲載している全ての画像・文章の複製及び無断転載を禁じます。