第59回 変身完了 ペルーへ 「ガイドブックそのままの女の子」
「まず、来た初日にね、ウワサの首絞め強盗にあったの!
そこの角を曲がろうとしたときにいきなり後ろから絞められて、最初は何が起こったんだかわからなかったけど、気づいたときにはカバン取られてた。まあ、貴重品は入ってなかったから良かったんだけどね。
でね、また次の日は、バスターミナルの近くでいきなり少年たちに囲まれてね、怖かったー。顔つきがヤバイんだもん。何されるのかと思ったよ。金出せって、言われたけど、本当に小銭しか持ってなくて、全部出したら、それ持って逃げていったけどね。
そしてね、一番最悪だったのは数日前!ちょっと帰りが遅くなっちゃって、暗くなり始めてたんだけど、すぐだからいいかと思って歩いて帰ってきたのが間違いだったわねー。ワイヤー強盗にあっちゃった・・・」
と、彼女はそこまで一気に話すと、私たちの顔色を伺った。

「そ、それで、どうなったんですか?」
「勿論、全裸よ、全裸!全て持っていかれちゃった・・・!!」
彼女は怖いことを平気で言う。
全部持っていかれちゃうのも怖いけど、全裸にされるっていう事のほうが怖かった。
「だからね、私、たまたま近くにあった新聞紙を体に巻きつけてここまで帰ってきたんだから!すごくない!?」
「・・・・・」
すごい、確かに、すごい!!色々な意味で・・・。
彼女は、まさにガイドブックに出ていた事例そのままの事件に遭遇していた。
「それで、お金とかパスポートとか、大丈夫だったんですか?」
「勿論!全てホテルにおいて、いつも行動してるからねー」
彼女は秘策を教えてあげる、と嬉しそうに言うと、紙切れを広げた。
「ばーか!せっかくですが、お気の毒さま!ここには何も入ってませんでした!」
と、その紙にはスペイン語で書かれていた。
「この紙をね、財布の中に入れて持ち歩いてるの。だからもし誰かがこの財布を盗んでも、中は空!面白いでしょ!きっとこれで、犯人も盗みなんかしないようになるわよ」
彼女は個性的で変わった子だった。
でも、そんなことしたら、犯人は余計逆上して、殺されかねないんじゃないかな、とちょっと思ってしまった。
だから私は翌日から、空の財布に紙切れを入れ、こう書く事にした。
「私はアルゼンチンで身包みはがされ、一文無しです。この足も、アルゼンチンで負傷しました。だから何も残っていません、ごめんなさい」・・・
「準備はOK?」
翌朝私たち3人は、お互いをチェックしあった。
「うん、完璧!まず日本人には見えないね。じゃあ、出発する?」
今日はクスコの市内を観光する日。
危険なペルーを自由に歩くための対策を考え抜いた結果、私たちは変装することにしたのだ!!
変装、といっても、単純に民族衣装を買って現地のペルー人になろうってのは無理だとわかっているので、最低でも、日本人に見えなければいいのだ。
そこで私たちはボリビアの市場で、色々な小物を調達し、今ここで、変身完了!!なのだった。





